Scrap 的なものと Article 的なものの使い分け

Published: 2022/10/23


このサイトは、いわゆるテックブログであって、そのメインはこの投稿を含めた記事ページとなっている。 また同時に、 Scraps というカテゴリのページ群もあり、これは Scrapbox を参考に、知識の整理を行うためにその機能の再現を試みているページ群である。 (これ以降、 Scrap とは Scrapbox 的なデータ表現方法を指す。)

テックブログは、つまるところ技術的な知識/知見を形式化し、オープン化したものであると考えられる。 とすると、今ある知識・知見を新たに得たときに、それは記事と Scrap のどちらで表現するべきか、毎回判断せねばならず、これは少々の認知コストとなる。 またもしくは、そもそもこれらの両者を統合したような形式(例: Readonly Scrapbox)で、サイト全体をリアーキするべきなのかもしれない。

この自分の中にあった問いに答えるべく、それぞれの表現形式の特徴を整理した上で、テックブログとしてどうしていくべきかについてまとめてみる。

Scrap 的な知識の表現

Scrap は、イメージ一つで表すことができる概念、とするのが正しく感じる。 おそらく、本家の Scrapbox もそうなっている。

それぞれの scrap において端的に情報を説明し、その関連 scrap を一覧で、望ましくは個々の関連 scrap をその表現イメージでもって描写しながら、これを閲覧者に提示する。

これは、個人の知識体系の学習・整理方法に合致していて、また、それを一番素直に表現するとこうなる、という感覚がある。 Scrapbox を利用しているユーザーも、いわゆる知識のグラフを、形式化のオーバーヘッドをほぼほぼなしに実現できるツールとして、 Scrapbox を利用している、のではないかと思う。

後述する Article との比較で考えると、よりノード間の関連性を重視した表現形式であると言え、またその流動性でいうとページは頻繁に作成されたり消えたりしていくことが想定される形式である。 (ruby と python の違いみたいな印象)

Article 的な知識の表現

記事は、言語化と文章化を強制する。 その記事単体である程度完結した情報を提示し、必要があればその関連情報をまた記事としてまとめていくことになる。

この形式はいわゆる、Schema.org の構造化メタデータによって策定されている Article という情報の表現形式であって、以下の性質を持つ:

  • 検索エンジンに対して知見をインデックスさせて SEO 対策をするならば、この形式が手っ取り早くデファクト的。
  • Zenn.dev での book があるように、記事ページをまとめればそれは情報量・質ともに本とほぼ等価。
  • Wikipedia を考えるに、普遍的に全員のための知識表現を作っていこうとすると、この形式に寄る。
  • 知見(情報)を記事の単位で単位化してまとめていく、という指向性がある。

共通していること

Scrap, Article 形式の両方に共通しているのは、それぞれ1ページをノードとして、関連性によってそれらを紐付け、DINW モデルでいう Knowledge を表現できる。

まとめ

それぞれの表現形式の特徴を見てきたが、 Scrapbox を記事(的なもの) only のページとして運用しようと思えば、それもできなくはない。 なので、これは知識を文章などを利用しながら表現を行っていく際の、スペクトラムがあったときその両極端においてどうなっているのか、の特徴である。 このスペクトラムをまとめると以下のようになっている。

ScrapArticle
表現の力点イメージ/関連性化論理/言語化/情報ノードの単位化
メインオーディエンス作成者全世界(他人)
SEO向いてない向いている

これをふまえて、以下の要件をすべて満たすものは記事(Article)として記事化し、それ以外は scrap としてまとめておくのが良さそうである。

  • SEO 的にキーワードが取れそうであること
  • 言語化できるぐらいに表現対象の知識ないし知見が明確化されていること

また、これらを統一してまとめていけるかというと、それぞれでそもそも重視しようとしている内容が違えば、また、そのターゲット自体も異なっていることから、現状の実装のまま別機能として扱うのが良さそうと思われる。

追記

他人に共有するために言語化していくのが Article で、その他人に共有するために行われた言語化努力部分をとっぱらって、知識(Knowledge)の本質である概念のイメージとその関係性だけに着目して表現したのが Scrap である。

という仮説的なまとめ。


Tags: uxseo

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